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東京高等裁判所 昭和47年(行ケ)113号 判決

事実及び理由

一  前掲請求の原因事実のうち、本願考案について、出願から審決にいたるまでの特許庁における手続、考案の要旨及び審決の理由に関する事実は当事者間に争いがない。

二  そこで、右審決の取消事由があるか否かについて判断する。

本願考案が原告主張の前掲(一)ないし(三)の事項(それぞれ審決の理由中における前掲(1)ないし(3)に相当する。)をもつて構成の一部とし、これが相互に関連性をもつていること、また本願考案が原告主張の前掲効果を奏することは当事者間に争いがなく、この事実に、さきに確定した本願考案の要旨、成立に争いのない甲第二号証(本願考案公報)の記載並びに本件口頭弁論の全趣旨を併せ考えると、本願考案は、基本的には、陰極と、各一対の垂直支持杆に支持され、かつ、これら支持杆の間に延びる横向導線を有して右陰極を包囲する一定ピツチの螺旋導線からなる少なくとも二個の枠形グリツド電極と、これらのグリツド電極を包囲するように垂直に配置された陽極と、右各一対の垂直支持杆を挿通する孔を有する一対の水平支持板とからなる、いわゆる複数枠形グリツド電極の電子放電装置であるが、このような電子放電装置においては、元来枠形グリツド電極を取付けて所望の状態に整列させてこれを確保するため、枠形グリツド電極について、横向導線を垂直支持杆に巻着する時点及びグリツド電極を水平支持板に挿着する時点において、対応している巻着された横向導線が共通平面内に位置することを含めて極めて正確な整合を設定、保持する必要があり、またその組立工程中、例えば、垂直支持杆と水平支持板に設けた金属クリツプとの溶接に際して発生する熱によつてグリツド電極が加熱されて、その構造に歪が生じ、または横向導線ないしグリツド電極間の整列関係が損なわれるのを防止する必要があること、本願考案の電子放電装置は、さような要請に応じるため、前記(一)ないし(三)の事項を構成に採り入れて相互に関連させ、これによつて、簡単かつ経済的な方法でグリツド電極を所望の整列関係を保たせるように正確に取付けるとともに、その組立工程中、温度の変化によりグリツド電極の構造に歪が生じるなどして整列関係が損なわれることを防止するという実用上の効果を奏することを認めることができる。

しかしながら、本願考案の構成中、前記(一)ないし(三)の事項がいずれも公知の技術であることは原告の認めて争わないところであるとともに、本願考案の右認定の実用上の効果が右構成を組み合せることにより初めて得られるものであつて、これらの構成により個々にもたらされる効果の総和を超えた特段のものであることについては、前出甲第二号証によつてもこれを認めることができず、他にこれを肯認すべき証拠がない。

してみれば、本願考案の構成は引用例から極めて容易に推考しうる程度のものというを妨げないから、これと同様の理由で本願考案を登録に値しないとした審決の判断は正当であつて、審決に違法があるということはできない。

三  よつて、本件審決の違法を主張してその取消を求める本訴請求を理由がないものとして棄却する。

〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。

中央に位置せしめられ且つ垂直に配置された陰極と、それぞれ対向して配置された一対の垂直支持杆と、この両支持杆の間に延びる複数個の横向導線を備えるようにこれら支持杆の周りに一定ピツチで巻回されてこれら支持杆に付着せしめられた導線の螺旋とを有し、且つその螺旋の大きさを互いに異ならしめられてその螺旋の大きさの順序に前記陰極を取囲むように位置せしめられた少なくとも二個の枠形グリツド電極と、前記各枠形グリツド電極を取囲むように垂直に配置された陽極と、それぞれ前記垂直支持杆の対数に対応する複数対の孔を有し垂直方向に互いに離隔され且つ前記各対の孔が互いに垂直方向に整列するように配置された一対の水平支持板とを具備し、前記各垂直支持杆はその両端部をそれぞれ前記両水平支持板の対応する孔に挿通されて各支持板の両側表面の外側に延び且つその一端部は前記各枠形グリツド電極を前記水平支持板の一個に取付けるためにその側壁に前記一個の支持板の両側表面とそれぞれ接触関係でこれら各表面上に横たわる突起部を備えるように変形せしめられ、前記各突起部は前記各枠形グリツド電極の対応する各横向導線がそれぞれ各共通整列平面内に位置するように選ばれた点において前記各垂直支持杆上に形成せしめられ、前記各垂直支持杆の他端部は温度変化による各支持杆の軸方向の膨脹及び収縮を許すためにそれぞれ前記水平支持板の他の一個の対応する孔内において運動可能ならしめられた整列グリツド電子放電装置

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